「腰椎すべり症」と診断された日のことは、今でもよく覚えています。
正直、最初はホッとしたんです。「反り腰」「坐骨神経痛」と言われ続けていたのに、ちゃんとした診断名がついた——やっと原因がわかった、と。
でもすぐに気づきました。これ、全然ホッとするような話じゃない、と。
骨がずれていて、神経が圧迫されている。しかも、間違った動きをするたびに、悪化するリスクがある。
その日から私は、スポーツ選手が怪我と向き合うように、「うまく付き合っていこう」と決めました。介護をしながら、家事をしながら、少しずつ自分なりのルールを作ってきました。
この記事では、私が実際にやってしまって後悔したこと、気をつけていること、そして毎日の小さな工夫をまとめています。同じ悩みを持つ方の参考になれば、うれしいです。
そもそも「腰椎すべり症」って何?
腰の骨(腰椎)が前後にずれてしまい、神経を圧迫する状態です。
主な症状は:
- 腰の痛みやだるさ
- お尻・太ももの痛みやしびれ
- 長時間歩くと足が痛む(間欠性跛行)
「ずれているなら元に戻せばいいんじゃ?」と思いますよね。でも多くの場合、手術より日常の動作の見直しが最初の治療になります。だからこそ「やってはいけないこと」を知ることがとても大切なんです。
腰椎すべり症についての詳しい情報は、健康長寿ネット(公益財団法人 長寿科学振興財団)でも確認できます。
やってはいけないこと① 重いものを持つ
介護も、買い物も、「ちょっとだけ」が積み重なる
私は家で介護をしています。買い物の荷物、食材の鍋、介助の動作——日常のあちこちに「重いもの」が潜んでいます。
「これくらい大丈夫」がいちばん怖い。
重いものを持つと、腰椎に縦方向の圧力がかかります。すでにずれている骨に余計な負荷をかけることになり、ずれが進みやすくなります。
私がやっていること
- 買い物はネットスーパーや宅配を活用(体が楽になるし、時間も節約に)
- 荷物はリュックで背負う(両手に分散させるより背負う方がまだ腰への負担が少ない)
- 重いものを持つときは必ず膝を曲げて腰を落とす
- 介護の動作はケアマネさんやPTさんに相談して、なるべく体への負担が少ない方法に変えてもらった
「腰が悪いから力仕事は無理」ではなく、やり方を変えるという発想が大切だと感じています。
やってはいけないこと② 前かがみの姿勢を続ける
料理・洗い物・スマホ…気づいたら前かがみ
腰椎すべり症は、前に体を曲げると骨のずれが広がりやすくなります。
料理中のシンク作業、洗い物、掃除機がけ、スマホを見るとき——思い返すと、前かがみの時間って一日中あるんですよね。
私がやっていること
- 台所には踏み台を置いて高さ調整(腰を曲げなくてもいい高さにする)
- 掃除機は柄の長いタイプに変えた
- スマホは目の高さまで上げて見る(これが意外とつらいけど、首や腰のためには必要)
- 長時間の前かがみ作業は10〜15分ごとに休憩を入れる
やってはいけないこと③ 痛みを我慢して動き続ける
「動かさないといけない」という思い込み
以前の私は「痛みに負けたくない」「横になってばかりいたら体が固まる」と思って、痛くても無理に動いていました。
でも、これが一番よくなかった。
痛みは体からのサインです。特に急性期(強い痛みがある時期)は無理に動かさず、安静が基本です。
ただ、ここが難しいところで——ずっと安静にしていればいいわけでもないんです。
急性期と慢性期で「動く」「休む」を切り替える
| 時期 | 状態 | 基本の対応 |
|---|---|---|
| 急性期 | 強い痛み・しびれがある | 安静を優先。無理に動かさない |
| 慢性期 | 痛みが落ち着いている | 適度に動かす。筋力を維持する |
「今は急性期?慢性期?」「どこまで動いていい?」——これは自分で判断せず、主治医やPTに確認することが一番大切です。
私はPTさんに「今日はこんな痛みがある。どこまで動いていいですか?」と毎回聞くようにしています。素人判断は本当に怖い。
やってはいけないこと④ 腰をねじる動作
振り向く・ひねる・ゴルフスイング
後ろを振り向く、体をひねって物を取る、ゴルフや軽いスポーツでのスイング動作——これらはすべて腰椎への回旋ストレスになります。
すべり症がある部分に「ねじれ」の力が加わると、症状が悪化しやすいんです。
私がやっていること
- 後ろを振り向くときは体ごと向きを変える
- 物を取るときは足を踏み出して体全体で向く
- よく使う物は体の正面に置くなど、ねじらなくていい環境を整える
- ゴルフやテニスなど腰を捻るスポーツは、痛みがある時期は封印。「いつかまた楽しくプレーするために、今は土台作りを優先」と気持ちを切り替えました
やってはいけないこと⑤ コルセットを自己判断で使う・外す
「腰が痛い=コルセットをする」は正しいの?
腰が痛くなると、コルセットに頼りたくなりますよね。私もそうでした。
でも、コルセットは使い方を間違えると逆効果になることがあります。
- 痛みがないのに長期間使い続ける → 腰まわりの筋肉が弱くなる
- 急性期に外してしまう → 骨への負担が増える
- サイズや締め方が合っていない → 効果がない、または別の部位を痛める
コルセットの使用期間・タイミングは必ず医師の指示に従ってください。
私は主治医に「いつ使って、いつ外せばいいか」を具体的に聞くようにしています。「痛い時だけ」「この動作をする時だけ」など、ちゃんと教えてもらえます。
腰椎すべり症に優しい「寝る姿勢」はどっち?
腰が痛い夜、気づくと横向きに丸まっていませんか? 私もそうでした。でもある時、お尻や太ももまでじんわり痛くなって……。
これ、偶然じゃないんです。横向きで寝ると下側に体重が集中して、お尻や股関節まわりが疲れてしまうことがあります。
腰椎すべり症でよく勧められるのは「腰を反らせない工夫をした寝方」です。
横向きで寝るなら:膝の間に枕やクッションをはさんで、骨盤のねじれを防ぐ。抱き枕があると楽になりますよ。
仰向けで寝るなら:膝の下にクッションを入れて、腰を床にしっかり密着させる。これだけで腰の反りがスッと消えます。
その日の痛みに合わせて、自分がいちばん楽な形を試してみてください。「この寝方で合ってる?」と担当医やPTさんに確認するのも大切です。
ちなみに、寝具(マットレスや枕)の硬さも腰への負担に大きく関わってきます。この話はまた別の記事で詳しく書きますね。寝具選びで悩んでいる方はぜひそちらも読んでみてください。
座る姿勢も見直してみて
腰椎すべり症は、長時間座り続けることも負担になります。
特に柔らかいソファに深く沈み込む座り方は、腰が丸まって骨への圧力が増えます。
私がやっていること
- 座面が硬めの椅子を選ぶ
- バランスクッションを椅子に敷いて、骨盤を立てる意識をもつ
- 1時間ごとに立ち上がって、少し歩く
座っていると、つい腰が丸まったり、逆に反りすぎたりしませんか?
私はパソコン作業のとき、タニタのバランスクッションを椅子に置いています。座るだけで自然と骨盤がスッと立ってくれるので、無理に姿勢を正そうとしなくても腰が安定するんです。まさに「座りながらリハビリ」感覚ですよ。
ストレッチ・運動は「自己判断でやらない」
ネットや動画で「腰痛に効くストレッチ」はたくさん出てきます。でも、腰椎すべり症には合わないストレッチもあります。
特に腰を反らせるストレッチ、腰をひねるストレッチは逆効果になることがあるので、必ず主治医やPTに確認してから始めてください。
私は最初に整形外科でリハビリをしてもらい、「このストレッチはOK、これはNG」を教えてもらいました。自己流でやっていた時より、ずっと安心して体を動かせるようになりましたよ。
私が実際に試した腰痛ケアの体験談は、こちらの記事にまとめています。
まとめ:腰椎すべり症と上手に付き合うために
腰椎すべり症と診断された時、「もう何もできないのかな」と落ち込みました。
でも今は、上手に付き合っていくという気持ちで毎日を過ごしています。スポーツ選手が怪我を抱えながら自分の体と向き合うように、私なりのルールを積み重ねてきました。
今日からできること:
- 重いものは工夫して持つか、避ける
- 前かがみの時間を減らす
- 痛みのサインを無視しない
- ねじる動作に気をつける
- コルセットは医師の指示で使う
- 寝る姿勢に「腰を反らせない工夫」をする
- ストレッチは主治医やPTに確認してから始める
- ウォーキングは「大股NG・小股でお腹を少し凹ませて」が基本。足がじんじんしたらすぐ休憩
完璧にできなくてもいい。少しずつ、自分の体と仲良くなっていきましょう。
「診断名がついてよかった。これで自分の体に合った付き合い方ができる」——今はそう思えています。
ウォーキングは腰まわりの筋肉を育てる、いちばん身近なセルフケア。いつか「履くだけでワクワクする可愛いシューズ」で、自分のための散歩時間を楽しめるように。辛いリハビリとしてではなく、人生を長く楽しむための「お散歩」として。
焦らず、でも諦めず。あなたの毎日が少しでもラクになりますように。
この記事は個人の体験をもとに書いています。症状や治療方針は人によって異なります。気になることは必ず主治医・理学療法士にご相談ください。



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